話し方教室(東京)「朝礼スピーチの話材/日本人の優しさはどこから来たのか?」

日本人は優しいなあ

数日前のテレビニュースで、札幌雪まつりの雪像を壊している映像を見た。何とももったいないのだが、気温が暖かくなって融けだすと危険なので仕方がない。

その映像を見て私は、「日本人て、なんて優しいんだろう」と思わずにはいられなかった。

雪像にお神酒をかける自衛隊員

雪像は自衛隊員が造っているようで、壊す作業も彼らがやっていた。まず、雪像の上に登った隊員が何かをしている。壊しているのではない。よく見ると、一升瓶に入ったお酒を雪像にかけていたのだ。

日本人ならその意味はわかるだろう。彼は雪像に、感謝と、これから壊すけど御免といっているのだ。そうして取り壊し作業の安全を祈願しているのだった。

言ってみれば、たかが雪像という物体であるにもかかわらず、それをただのモノとしては扱わずに、大事に、いとおしく接する。このことに、私は日本人の優しさを見てとった。

日本人の宗教観は、先祖崇拝と自然崇拝

私が若かりし頃、親しくお付き合いいただいた、とある会社の社長がこう言っていたことを思い出す。「日本人の宗教観は、先祖崇拝と、自然崇拝だ」と。私も年を重ねるにつれ、そう強く実感している。

先祖崇拝とは、ご先祖様を大切にすること。自然崇拝とは、山川草木、石、物などを大切にすることだ。

先の雪像に対する敬意も、「自然崇拝」の日本人の宗教観から来ていると考えると、私は腑に落ちる。

日本人は、物にさえ敬意を表せる民族

日本人は、なんて、優しい民族なんだろう。お・も・て・な・しの精神も、物にさえ敬意をあらわす日本人の精神性があってはじめて可能となることだ。

自然崇拝は、シャーマニズム・原始宗教であり、いわゆる「宗教」とは呼べない代物、という人達がいる。でも、そんなことはどうでもよい。

日本人は、自然や、物にさえも敬意を示すことができる民族なのだ。私は、この優しい精神性を大事にしていくことが、日本の強みになるような気がしてならないのだ。

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