「対人関係・専門コース(A)」にご入学になる方は、いわゆる「普通の話し」、つまり、「日常の会話や雑談」が続かずに悩んでいる方です。
 その「会話下手、雑談下手」で悩んでいらっしゃる方は、実際にどんな風に不都合を感じておられるのか、Nさんの実例をご紹介したいと思います。

 Nさんは、名古屋から指導を受けに来られた28歳の男性です。いわゆる一流大学を卒業し、一流企業に勤務しています。
 以下の(1)~(4)は、入学前の「専門相談」時に、彼がメモして来たものです。
初対面の時、うまく話せない。緊張して、どう話せばいいのかわからない。目線をどうあわせればいいのか、わからない。相手の反応を気にする。話しと話しがぶつかってしまう。聞く時と話す時の区別がわからないでいる。

大勢が集まる場や、コンパ(飲み会)で話せない。おとなしい、と言われる。だから、そんな場が嫌い。自分から話を切り出せない。他の人の話しに、割り込むのが難しい。「うん」や、「へー」ばかり言っている。「~ですよねぇ」の、同意発言が多い。説明が下手。話しがまとまっていない時がある。

皆んなに話しかけずに、特定の人に話しかけようとする。冗談が通じない時がある。大学時代は、たまり場を通るのが嫌だったから、誰にも会わないように、そっと隠れるように帰っていた。

話しかける第一声が難しい。同年齢の人に対しても、敬語を使うことが多い。名前を呼んでから、話すことが多い。話しを聞かないふりをしてしまうことがある。気まずいと、自分から話さないようにする。話しをまとめてしまうことがある。

人に突然会った時、話題が浮かばない。例えば、会社の廊下ですれ違う時、トイレで一緒になった時。話題が出てきても、あせって話しを作っている。とにかく、こちらから話そうと必死。話しかけても、一言二言で終わってしまう。そんな場面が苦痛であり、中学、高校、大学、社会人と、年齢を重ねるごとにその辛さが増してきている。
 上記のように、Nさんは、子供の頃からずっと、人との接し方に悩んできました。他人の目には、「生真面目」、「何か内に秘めていて、話しづらい」と映るようで、他人から彼に話しかけてくることは少なかったそうです。その結果、友人も少ない状態でした。

 「職場で大きな声で話せません。同期の飲み会にも行けません。バーベキューをやっても話すことに必死で、楽しめません。これから、誰かの結婚式や、同窓会に行くことを考えるだけでも苦しくなります。この先の人生が不安で仕方がありません。」こんな風に語っていたのです。

 そして、日本でただ一つの科学的教授法(サカイ・メソッド)による指導が始まりました。遠隔地の方のため、月に一度の通学です。それでも2回目の授業が終了し、3回目に入る頃には、彼の表情が、明るく、輝きだしました。

 「あれほど、何十年も悩んでいたことが嘘のようです。もう、心配はありません。同僚や友達ともよく飲みにいっています。実は彼女ができ、今度彼女の家に遊びにも行きます。」と、嬉しそうに話す彼の笑顔を見た時、私達も喜びと、そして責任を果たした安堵感に包まれます。

 「正しい指導なら、あっけないほど簡単に、効果を出せる。」この真実を、同じ問題で、何十年も悩んでいる皆さんに、ぜひとも知っていただきたい、私達はそう思わずにはいられないのです。

(C)酒井美智雄