話し方教室 東京コラム「沈黙は金なり。」
【今日の金言/2025-03-17】
「沈黙は金なり。」
日本のことわざ
このことわざは、何も言わないことの価値を強調しています。しかしながら、現代社会においては、全面的には賛同しかねる部分もあると言わざるを得ません。
コミュニケーションにおける沈黙の効用とは
沈黙がコミュニケーションにおいて果たす役割は多岐にわたります。沈黙は相手に話す機会を与え、より平等な会話の流れを作り出す手段となります。
これにより、全ての参加者が意見や感情を共有する機会を持つことができ、コミュニケーションがより対話的なものとなります。また、沈黙は相手の言葉を慎重に聞くことを促し、それによって相手の真意を理解する助けとなることがあります。
さらに、沈黙は緊張を和らげる効果もあり、特に感情的な議論の中で冷静さを保つための戦略として用いられることもあります。
沈黙は自己の感情や考えを内省する時間になる
沈黙は、その心理的な影響においても重要な役割を担います。人は沈黙を経験することによって内省の時間を持ち、自己の感情や考えを再評価する機会を得ます。
この自己反省は、個人の成長や心の平和を促進することができます。また、沈黙は不必要な衝突を避ける手段としても機能し、言葉による誤解や誤った情報の伝達リスクを減らします。
沈黙は、特に困難な対話や感情的な状況において、慎重に言葉を選ぶ時間ともなり、効果的なコミュニケーションに貢献します。
日本文化としての沈黙には光と影の両面がある
日本文化において、長く、沈黙が尊重されてきましたが、これには光と影の両面があります。
光の部分は、沈黙は相手への敬意を示す手段として用いられます。また、話すことを急がず、周囲の人々や状況を深く観察することの大切さを教えています。
一方、影の部分としては、話さなければならない時にも、話す力が足りないために沈黙せざるを得ないことがあります。また、「言葉よりも行動」という風潮もあり、話すこと自体を軽んじてきたきらいがあるのです。
「沈黙は金なり」ということわざは、かつては、それが良いことだと推奨されてきました。しかしながら、現代社会においては、光と影の部分があることを理解する必要があります。
つまり、いつでも沈黙ではなく、主張すべき時には、沈黙を破ることもまた求められることを忘れてはならないのです。
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