話し方教室 教養講座-批判的思考で、嘘の情報を見破れ!
情報があふれる現代社会において、私たちは日々、数え切れないほどの情報に接しています。
インターネット、SNS、メディアなど、様々な情報源から得られる情報の中には、真実だけでなく、誤った情報や意図的な虚偽が含まれていることも少なくありません。
こうした情報を正しく判断し、嘘の情報を見破るためには、「批判的思考力」が欠かせないものになります。
批判的思考とは
批判的思考とは、与えられた情報に対して自動的に信じるのではなく、疑問を持ち、論理的に考え、理由を求め、証拠に基づいて判断するプロセスです。
このプロセスには、観察、分析、解釈、反省、評価などが含まれます。批判的思考を行う際には、情報の出所を考えること、情報の背後にある目的を理解すること、異なる視点からの情報を検討することが重要です。
これにより、情報の正確性や信頼性を自らの手で評価することができるようになります。
偽情報を見破るには
偽情報を見破るためには、次のポイントが有効です。
まず、情報の出典を確認します。信頼できる出典かどうか、他の信頼できる情報源が同じ事実を報じているかを検討することが大切です。
また、書き手の専門性や動機も考慮する必要があります。情報に含まれる論理的飛躍や矛盾を指摘できるかどうかも、批判的に情報を評価する上で重要なポイントです。
あわせて、感情に訴える表現や極端な言葉遣いが使われていないかもチェックする必要があります。これらはしばしば誤情報や偏見につながる要因となるからです。
批判的思考力を養う訓練
批判的思考力は、訓練と実践によって向上します。日常生活で意識的に情報に疑問を持つことから始めることが肝心です。
たとえば、ニュース記事や書籍の内容を要約し、その後でその情報源の信頼性や論理構造を分析することが挙げられます。
また、異なる視点から情報を見る訓練をすることも有効です。ある情報に賛成と反対の両方の意見を集め、各論点の強さと弱さを評価すると言った方法です。
話し方教室の視点/今日の一言
「批判的思考力を高めることは、現代に生きる人達の責務である」
最近、兵庫県知事選挙の結果が出ました。意外と思える結果でしたが、その結果にはSNSが大きく影響しているようです。もし、SNSで情報を得ている人達がすべて「批判的思考」ができていたなら、結果は、また違ったものになっていたと思えます。
さて、情報リテラシーと批判的思考は、まさに現代社会を生き抜くための必須スキルと言えるものです。ご承知のように、ネット上には、嘘や、デマ、悪意に基づく主張、そんなものがいっぱいです。その情報の渦の中で、その真偽を見極めるためには、まず、事実と意見を明確に区別する能力が欠かせません。
ちなみに、事実は、証拠やデータに基づいており、客観的で検証可能です。一方、意見は、単に個人の見解や感情に基づいており、主観的なものです。この違いを理解しないことには、情報を掘り下げ、評価することなどできません。
また、様々な情報源から情報を得ることをしないで、たった一つの情報源から物事を考察することは、危険でしかありません。
批判的思考とは、シンプルに言えば、事実を意見とを区別し、多様な情報源から情報を得ることによって、真実に迫るプロセスです。だからこそ、現代の情報社会を生き抜く上で、欠かせないスキルと言ってよいのです。
ついでながら、批判的思考は、嘘の情報を見破るだけでなく、より賢明な判断を下すためにも不可欠です。私たちには、より一層、批判的思考能力を鍛え、磨き続けることが求められているのです。
学院総長 酒井美智雄
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